「本場の刺激と旨味を届ける」──香辛料に妥協しない本格四川の探求。中国菜館 成都・シェフの美学
中国菜館 成都
愛媛県四国中央市川之江町。四国の交通の要衝として栄えるこの街に、食通たちが足繁く通う本格中華の名店「中国菜館 成都(せいと)」がある。扉を開けると、香ばしい胡麻の風味とピリッと痺れる花椒(ホアジャオ)の華やかな香りが鼻をくすぐる。

ここで提供されているのは、単なる大衆中華ではなく、本場・四川料理の力強さと繊細さを併せ持った本格的な一皿だ。奥深い辛みとコクが広がる料理の数々は、一度味わえば心と記憶に強く刻まれる。
原体験と葛藤
シェフが四川料理の奥深さに魅せられ、料理人としての道を歩み始めた背景には、「本物の四川料理の美味しさを届けたい」という純粋な衝動があった。
しかし、店を立ち上げた当初は「本場の味付け」と「地域の好みのバランス」に大きな葛藤を抱えていたという。四川料理の代名詞である辛さ(辣)と痺れ(麻)をそのまま表現すると、慣れない客からは「辛すぎる」と受け入れられないこともあった。
「かといって、日本人の口に合わせすぎて甘みや油脂ばかりを強めてしまっては、自分が惚れ込んだ四川料理の真髄が失われてしまう。本場の力強いスパイスの香りを活かしつつ、一口目から美味しく食べられる黄金バランスをどう作り出すか、試行錯誤の毎日でした」
四川料理の伝統を守りながらも、一口食べたあとに素材の旨みが追いかけてくる独自の味わいを目指し、シェフの探求が始まった。

独自のこだわり・技術・サービスの真髄
中国菜館 成都の料理の命といえるのが、厳選された香辛料と自慢の自家製調味料だ。
四川省から取り寄せた花椒や唐辛子をはじめ、時間をかけて仕込む自家製ラー油や熟成された豆板醤を、料理の特性に合わせて絶妙な塩梅で使い分ける。看板メニューである「四川麻婆豆腐」や「担々麺」は、挽き肉の旨み、高火力で炒め上げた香ばしさ、そして鼻に抜ける爽やかなスパイスの香りが見事な調和をなしている。
「ただ辛いだけの料理は作りません。スパイスは辛みを主張するためだけのものではなく、食材の旨みを引き立て、香りを膨らませるためのもの。火入れの瞬間の温度とタイミングにも全神経を注いでいます」
妥協のない仕込みと技術によって生み出される一皿には、料理人の誇りと情熱が宿っている。
お客様との向き合い方・アフターフォロー
店内には、本格的な痺れと辛さを求める中華ファンから、家族での食事を楽しむ地元の人々まで幅広く訪れる。一人ひとりに満足してもらえるよう、辛さの調整やメニューの相談にも柔軟に対応している。
「辛いものが得意な方には本場さながらの本格的な痺れを提案し、お子様や辛いものが苦手な方には優しく奥深い旨味を楽しめるメニューをおすすめしています。どんな方にも『今日の中華は美味しかった』と笑顔で帰っていただきたいんです」
温かな接客と居心地の良い空間づくりに気を配り、一度訪れた客が大切な人を連れて再び足を運んでくれるような、地域に親しまれる店づくりを徹底している。
今後の展望・メッセージ

「四川料理の可能性はまだまだ広がっています。これからも伝統技法を守りながら、新しい美味しさを追求していきたい」とシェフは語る。
今後の目標は、時代が移り変わっても「四国中央市で本格四川中華といえば成都」と信頼され続ける存在であり続けることだ。
「日々の喧騒を忘れ、香辛料の香るあたたかな料理で心もお腹も満たしてほしい。本物の味を気負わずに楽しめる場所として、いつでも皆様をお待ちしています」
本格派の情熱と地域の温もりが交差する中国菜館 成都。そこには、一口食べるごとに身体の奥から元気が湧いてくるような、至福の中華体験が待っている。
取材・文=みつかるグラム編集部