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No.017MITSUKARU STORIES飲食福井県 坂井市 丸岡町2026.10.16

「プレハブから始まり丸岡で20年」総料理長の座を辞して築いた愛される味。中華飯店九龍・店主の歩み

中華飯店九龍

福井県坂井市丸岡町。のどかな街並みの中に、ひっそりと佇む『中華飯店九龍』。一見すると地元の人々に愛される親しみやすい町中華だが、実は横浜中華街や銀座の名店、さらにはホテルの総料理長を歴任した凄腕のシェフが鍋を振るう本格中華の名店だ。

プレハブの小さな店舗からスタートし、創業20年を経て新築移転を果たした現在。確かな技術とアットホームな居心地の良さが共存する同店が提供する、独自の価値と長年愛され続ける理由に迫る。

原体験と葛藤

横浜中華街での厳しい修行時代から始まり、新宿のホテル、銀座の中国料理店と、料理人としての王道を歩んできた店主。その確かな腕を買われ、金沢ニューグランドホテルの総料理長として北陸へと招かれた。順風満帆なキャリアを築き上げていた彼が、なぜあえて独立という道を選んだのか。

「本当に自分が作りたい料理を、お客様の顔が見える距離で直接届けたかったんです」

高級食材を使ったきらびやかな料理だけではなく、日常の中でホッと息をつけるような一杯を作りたい。そんな強い思いを抱え、福井片町の中国料理店を経たのち、丸岡の地で独立を決意した。輝かしい経歴とは裏腹に、最初のスタートは小さなプレハブ小屋の店舗だったという。

独自のこだわり・技術・サービスの真髄

同店の看板メニューとも言えるのが、自家製の「九龍麺」と「水餃子」だ。長年の経験で培われた技術は、奇をてらわない王道の味わいの中にこそ光る。

「基礎を徹底しているからこそ、優しい味の中にも奥深さが出せる。皮から手作りする水餃子のモチモチ感は、長年の勘が頼りです」

一切の妥協を許さない仕込みこそが、同店の真髄だ。高級ホテルで腕を振るってきた確かな技術を、あえて「町中華」という飾らない形で提供する。身体に染み渡るような優しいスープや、絶妙な火加減で仕上げられたパラパラのチャーハン。その一つひとつの品に、第一線で戦ってきた料理人としての静かな誇りが込められている。

お客様との向き合い方・アフターフォロー

料理の確かな味だけではなく、温かく気配りの行き届いた接客も『中華飯店九龍』が20年にわたって愛され続ける理由の一つだ。新築移転した店内は、ゆったりとくつろげる座敷席やテーブル席のほか、一人でも立ち寄りやすいカウンター席を備え、誰でも気兼ねなく足を運べる空間となっている。

「料理を通じて、お客様の日常に寄り添いたい。食後にふと笑顔になれるような、そんな心地よい時間を過ごしてほしいですね」

食後にさりげなく提供されるフルーツのサービスなど、細やかな心遣いには、総料理長時代には得られなかった「お客様との直接の対話」を大切にする想いがあふれている。技術は一流、接客は家族のように温かく。それが同店の変わらぬ流儀である。

今後の展望・メッセージ

プレハブの小さな店から始まり、地域の人々に支えられながら新築移転を果たした同店。創業20年という節目を迎え、店主の眼差しはさらにその先を真っ直ぐに見据えている。

「丸岡で店を構えて20年。これからも初心を忘れず、一杯の料理に魂を込めて精進していきます」

遠方から噂を聞きつけて訪れる客も絶えないが、一番の喜びは地元の常連客が「いつもの味」を求めて暖簾をくぐってくれることだと語る。華やかな経歴に驕ることなく、ただ誠実に鍋と向き合い続ける『中華飯店九龍』。その静かな情熱は、これからも丸岡の地で美味しい記憶を紡ぎ続けていくに違いない。

取材・文=みつかるグラム編集部

この記事の店中華飯店九龍〒910-0252 福井県坂井市丸岡町御幸1丁目31-5
月・水〜日 11:00–20:00 / 火 11:00–15:00
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